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沖縄で栽培される国産コーヒー。 コーヒーはブラジルなどでしか栽培されないと 思っていた私は驚いた。

 沖縄県で栽培される国産コーヒー

 

 コーヒーはブラジルなどでしか栽培されないとついつい思ってしまう。というかそう思っていた。日本では栽培されないんだろうな〜なんて漠然とだが思い込んでいた。

 その昔、小笠原で日本で最初のコーヒー豆の栽培が行われたと聞いたが、それがそのまま続いているという話は聞かないし、そのせいか日本ではコーヒー豆の栽培は難しいと思ってしまっていた。

 ところがある日、通販で黒砂糖や沖縄のアグー豚などについて買えるところを物色していた際に偶然知ったのが、沖縄にコーヒー農家があり、そこで栽培されるコーヒー豆を販売しているということ。

 え???、日本でもコーヒー豆が栽培されるの? 生産ベースにあっていたの?? と驚くばかり。

 調べてみると、沖縄県は南北の緯度25度以内を指すコーヒーベルトの北限に位置し、コーヒー豆の栽培に適している温暖な亜熱帯でありながらも、昼夜の寒暖の差がある土地でもあるとか。

 そうだったのか……、と結構盲点をつかれた感じがする私だが、風味豊かでコクがある沖縄産のコーヒーを試さないわけにはいかない。今は便利なインターネット通販でさっそくお取り寄せ。しかし、この原稿には間に合わないので、味の報告は次回に回すとして、今回は沖縄のコーヒーについてレポートしてみようと思う。

 

 コーヒー豆の栽培に適す沖縄県

 

 沖縄県にはいくつかのコーヒー農家があるが、県で最初にコーヒー農家として農業生産法人の認可を取ったのが、「名護珈琲」。

 コーヒー豆の栽培に適している沖縄県で、「世界に輸出出来る様な品質のコーヒーを 栽培してみたい」という思いから、農園経営を始めてみたという。

 名護珈琲の特徴は無農薬で防腐剤も不使用。なぜなら、沖縄ではコーヒーの害虫がいないので無農薬栽培ができるのだそう。オリジナルスィーツも販売していて、コーヒーとの相性もよさそう!

 

 コーヒーオーナー制も登場 

 

 コーヒー農園だけでなく、NPO法人「備瀬・島づくりの会」(喜屋武信理事長)は、3年間のオーナー制でアラビカ種の「ニューワールド」というコーヒーの樹の植え付けなどを行っている。オーナー制度を導入しているのがユニークだ。コーヒーオーナーというだけでわくわくしてくる。

 このイベントの苗の提供や技術指導を行ったのは「名護珈琲」だが、2012年4月28日に、約700平方メートルの畑に40本のコーヒーの苗を植えた。

 沖縄県はコーヒー栽培に適しているというが、北部と南部では土の性質が異なる。栽培に適しているのは、北部のやんばる地方の赤土だとか。そこの土はPh4・5と酸性が強く、水はけも良く、山間部のため、昼夜の気温差もコーヒーの育成にいい影響を与えるのだそう。

 前述したとおり、沖縄ではコーヒーの害虫がいないので、木に虫はつかないが、最も注意して対策しなければならないのが、台風というから、なるほどと思わずうなってしまった。

 暴風ネットや木の1本1本に添え木をするなどの細かい配慮が欠かせなくなる。

 

 国産コーヒーが楽しみ

 

 このような対策をしながら、沖縄はコーヒーの栽培に適しているため、ほかにも栽培を行っている農場がある。しかし、中には県内でコーヒー栽培をあきらめた農家もある。いろいろな事情があることが了解できる。でも沖縄県で国産のコーヒーが確実に生産されていることはよくわかる。今は、頼んだコーヒー豆が届くのが楽しみだ。

 

 

『四季の珈琲』2012 vol.34