· 

コンビニコーヒーの熱い戦い

 コンビニコーヒーが熱い

 

 コンビニエンスストアで本格的なコーヒーを出すようになった。現在、サークルKサンクス、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップなど主要5社が、店頭でいれたてコーヒーを提供している。それぞれネーミングがあり、サークルKサンクスは、「FAST RELAX CAFE 淹れたてコーヒー」、セブン-イレブン・ジャパンは、「SEVEN CAFÉ」、ファミリーマートは、「あじわい Famima Café」、ローソンは、「マチカフェ MACHI caféローソン」、ミニストップは、「M's STYLE COFFEE」でコーヒーサービスを展開している。

 では、それぞれ特徴をみてみよう。

 

 サークルKサンクス

 「FAST RELAX CAFE 淹れたてコーヒー」というネーミングのもと入れたてセルフコーヒーを提供するサークルKサンクス。Kカップと呼ばれるレギュラーコーヒーとフィルターが内蔵された一杯抽出用カートリッジをセットして飲む。KカップはUCC上島珈琲のスーパーアロマ製法で製造されている。パッケージングまでの工程で酸素の侵入を防ぎ、香りをKカップに閉じ込めているのがポイント。また酸素を押し出しパッケージングの際には窒素を充填し、密封パックされているのは特許製法だ。レジで注文するとカップとこのKカップを渡される。あとは自分でカップをマシンに置いて、Kカップをセットし、ボタンを押せば30秒でコーヒーができる。

 メニューは、オリジナルテイスト(130円)、有機栽培珈琲(150円)、エクストラブレンド(160円)、カリビアンクイーン(160円)、ブルーマウンテンブレンド(180円)、アイスコーヒー(130円)に加えて、紅茶のリプトンイエローラベル(150円)を含む7種類だ。

 6月4日から全6千200店で、オリジナルテイストとアイスコーヒーをそれぞれ30円値下げし、一杯100円で販売する。

 

 セブン-イレブン・ジャパン 

 2013年1月末からセブン-イレブン・ジャパンで順次全国展開されている「SEVEN CAFÉ」。「より豊かでより上質な時間」を提供することをコンセプトに、クリエイティブディレクター佐藤可士和氏のプロデュースのもと立ち上げる新しいブランドで、8月までに全国1万5千店の導入を完了させる予定でいる。

 コーヒーを提供する専用サーバーからカップに至るまでオリジナル。素材と製法にこだわった5つの特徴がある。①ウォッシュド ハイグレード アラビカ豆100%使用、②こだわりのダブル焙煎、③1杯ごとにペーパードリップ、④チルド配送、⑤軟水で抽出である。

 ウォッシュド ハイグレード アラビカ豆は、各国で収穫されるコーヒー豆の中でもハイグレードなものだけを厳選し、コーヒー鑑定士の風味確認を経たものだけを使用。

 年間で3億杯超を目指す。メニューは、ホットコーヒー(R100円)(L150円)、アイスコーヒー(R100円)(L180円)。アイスコーヒーは専用の氷を冷凍庫から持ち出して、マシンにセットしてボタンを押すという本格的な入れ方だ。

 

 ファミリーマート

 ファミリーマートは、「あじわい Famima Café」というネーミングで、セルフコーヒーを提供している。利用方法は、レジでメニューを伝え、金額と引き換えにカップを受け取る。カフェマシンにカップを置き、選んだメニューのボタンを押して、点滅が終了したら出来上がり。メニューはブレンド(150円)、カフェラテ(150円)、アイスコーヒー(180円)、アイスカフェラテ(180円)の4種類。

 高い圧力をかけて抽出するドイツ製のエスプレッソ抽出式のコーヒーマシンを使用するため、コーヒーの香りやコクがより引き立つ。女性に人気とされるきめ細かい泡立ちのミルクメニュー「カフェラテ」がこのため楽しめるのが特徴。コーヒー豆は、一杯ずつ「挽く→蒸らす→抽出」の工程を経るため、いつでも挽きたてで入れたてのおいしさが可能となった。4種類のメニューによってブレンドする品種を変えて、コーヒー豆のおいしさが最大限引き出されている。

 

 ローソン 

 「マチカフェ MACHI caféローソン」というネーミングでコーヒーを提供するローソンの特徴は、店員が丁寧に一杯ずついれてくれること。

 コーヒー豆はブラジルの伝統的なコーヒー生産地であるミナスジェライス州に位置する世界最大規模の単一農園である「イパネマ農園」のこだわり豆を50%使用。希少性の高い、「パルプドナチュラル豆」を20%使用している。パルプドナチュラル豆とは完熟したコーヒーチェリーの果肉を取り、ミューシレージという甘みのある部分を残して乾燥する製法。この製法はフルーティな甘みとクリアで香り高い味わいになることが特徴である。さらにブレンドコーヒーとラテ・アイスコーヒー用に最適な豆を選んでいる。また、コーヒー豆の個性を引き出す、最適な焙煎方法で焙煎し、その後ブレンドする「アフターミックス製法」を取り入れている。

 カフェラテやアイスカフェラテで使用する牛乳は、生乳本来の自然のおいしさを追求。牛乳成分に負担の少ない加熱方法でじっくり丁寧に殺菌し製造しているというものだ。

 メニューは、ブレンドコーヒー(M180円)(L210円)、カフェラテ(M210円)(L240円)、アイスコーヒー(180円)、宇治抹茶ラテ(240円)、宇治抹茶アイスラテ(240円)、ダージリンティー(180円)、アイスカフェラテ(210円)、ロイヤルミルクティー(210円)、オリジナルブレンドドリップバッグ(80円)となっている。

 宇治抹茶ラテと宇治抹茶アイスラテは春から夏の期間限定メニューだ。

 またスイーツも充実しており、3つのパッケージカラーにそれぞれのスイーツの特徴がある。まずオレンジ、これは洋菓子専門店の開発商品で、本格派のお菓子とされている。グリーンはふんわりと焼き上げたしっとり柔らかなケーキ系焼き菓子、パープルはクッキーやタルトなど、サクッとした食感が楽しめる焼き菓子である。こげ茶色のカウンターに、これらのスイーツがあり、ふんわりバームクーヘン(120円)、フィナンシェ(110円)など手頃な価格で購入でき、コーヒーとの相性もばっちりだ。

 

 ミニストップ

 ミニストップは「M's STYLE COFFEE」というネーミングでセルフコーヒーを提供しているが、ミニストップらしいのが、あのミニストップのソフトクリームがコーヒーと一緒に楽しめるメニューがあること。濃厚でありながら甘さ控えめの北海道産の生乳を使ったソフトクリームはコーヒーの苦みとベストマッチだ。

 メニューはホットコーヒー(150円)、アイスコーヒー(150円)、ソフトクリームが入ったのはソフデコと言い、198円である。アイスコーヒーには氷が、ソフデコにはソフトクリームと氷が入っている。

 注文方法は、レジで会計後、カップを受け取り、該当のコーヒーを注ぐだけ。一杯ずつの抽出ではなく、ポットタイプのサーバーから入れるようになっている。ソフデコにはアイスコーヒーを注ぐ。

 「M's STYLE COFFEE」のローストと豆のこだわりは、豆の鮮度にこだわっていること。海外のコーヒー農園から届いた豆を、国内で焙煎。200度近い焙煎豆を、一気に急速冷凍し、煎りたてのコーヒーの豊かな風味と香りを封じ込めている。

 豆のブレンドにもこだわり、ホットにはアラビカ種を100%使用。アイスコーヒーには、アラビカ種にロブスタ種を少し加えることで、コーヒー感をアップさせた。煎りは深煎りのフレンチローストでミルクやソフトクリームに負けない味を引き出している。

 

 コンビニコーヒーが熱い理由

 

 それぞれのコンビニでこだわりをもってコーヒービジネスが展開されているのがわかる。しかもセルフとは思えないほどのこだわりだ。

 コンビニエンスストアで本格的なコーヒーがセルフでしかも廉価で飲めるとあって、ビジネス街でもドライブ中でも人気となっている。

 価格も安く、そして手軽さが人気の理由であるだろうが、ライバルであるコーヒー専門店はどのような展開を図るのか、目を離せられない。

『四季の珈琲』2013 vol.36