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道後温泉カフェめぐり 愛媛県松山市

コーヒーと温泉がかくも

似合いになるとは。

湯煙と湯気の持つ温かい

イメージに心躍らせる道後歩き

 

 

 

 道後温泉のカフェ

 

 道後温泉(愛媛県松山市)を訪れると、カフェの看板が目につく。カフェというのは古き良き喫茶店も含むしっかりとしたコーヒーが飲める場所をさす。それでも地元の人によると一時期一時期に比べるとカフェの数はぐっと減ったという。ならば今こそが淘汰されて残ったカフェであるといえる。つまり期待できるカフェであろう。

 

 日本最古の温泉街

 

 道後温泉は、「日本書紀」にも登場するほど日本では最古の温泉である。道後温泉といえばやはり「道後温泉本館」であろう。瓦屋根のどっしりとした構えである。本館上の振鷺閣(しんろかく)には伝説の白鷺を据えている。白鷺伝説とは、足に傷を負い苦しんでいた白鷺が岩間から湧き出る温泉に足をつけたところ、元気になって飛び立って飛び立っていったというものである。

 「道後」という名の由来は、大化改新(645年)までさかのぼる。大化改新によって各国に国府が置かれる。この国府を中心として、道前・道中・道後の名称が生まれたのだった。道中は、国府のある地域を指した。さらに京に向かって国府の前部にあたるところを道前、後部にあたるところを道後と呼ぶようになったが、近世に入ってから、温泉の湧く今の道後を指すようになったという。

 さてもう少し道後温泉の歴史を説明することとする。

 前述の道後温泉本館は明治27年に建てられた。二種類の浴槽からなるこの温泉。関東地方の銭湯に慣れている自分としては、深さがあるため驚く。湯船につかると腰まではある。泉質はアルカリ性単純泉で、湯上がりはツルツル。優しい湯の感触と重なり合ういいお湯だ

 毎朝6時には太鼓の音が響き、開館を告げ、地元の「朝湯会」のお年寄りや住民たちがやってくるという。朝6時という早朝から開いている温泉施設や銭湯は鹿児島でもあるが、早朝からの温泉は温泉好きにはたまらない。

 さらに、道後温泉本館の近くには、姉妹湯の「椿の湯」がある。

 「椿の湯」の由来も歴史がある。その昔、聖徳太子が行啓された時までさかのぼるからだ。当時の温泉郷は、椿が枝をさしかわすように生い茂っていたという。その見事な光景を、まるで天寿国にいるようであるとたたえられたことから名づけられた。建物は、昭和28年「第8回国体」が松山で開かれたときに新設し、さらに昭和59年に改築された。地元の人が多く訪れる公衆浴場である。 

 

 道後の町屋

 

 温泉から出てぷらぷらとそぞろ歩いてみる。道後温泉のアーケードの中に、「道後の町屋」がある。元は道後来郵便局舎とその奥は局長宅だったという大正末年の建物を店舗用に改装したもの。第1回松山店作りコンテストにおいて愛媛県知事賞を受賞しただけあって、古いものをの良さを活かしているため、どこか懐かしく、そして落ち着ける空間となっている。

 コーヒーは一杯一杯ハンドドリップで提供。苦みとコクのあるブレンドコーヒー「格子の風情」、口当たりの柔らかい、味愛のブレンドコーヒー「香りの小路」などのオリジナルコーヒーに加えて、週替わりのストレートコーヒーや水出し水出しコーヒーなどもある。

 カプチーノや、カプチーノに生クリームを浮かべたウィンナー・カプチーノなどのアレンジコーヒーもあるが、目をひいたのが、あんこオレ。粒あんテイストのカプチーノにあんこクリームを浮かべたもの。カプチーノとホイップアイスクリームをマッチさせたカプチーノ・フロートもある。

 さらにここでは「家族に食べさせたいもの」、「安心して食べられるもの」をコンセプトに、乳化剤や保存料などを一切使わない自家製パンもある。

 焼きたてパンとコーヒーを目当てに観光客だけでなく地元の住民たちでにぎわうカフェだ。

 

 nagai  coffee

 

 道後温泉のアーケードから外れたところに、自家焙煎コーヒーを提供するnagai cafeがある。ジャズが流れる席数わずか15席の小さな店内は、座った途端、旅の疲れがとれる居心地居心地の良さだ。

 メニューはオリジナルブレンドとストレートコヒーの2種類。オリジナルブレンドは、ソフトコヒー(500円)、フレンチコヒー(550円)、アメリカンコヒー(500円)、アイスコヒー(500円)。板に書かれたメニューは、コーヒーでなくコヒーであるところが店主のこだわりを感じさせる。

 ストレートコヒーは、コロンビア(600円)、サントス(600円)、マンデリン(600円)、モカマタリ(650円)、カフェ・オ・レ(600円)である。フードメニューにモーニングセットやケーキセットがある。もちろん豆も販売されている。

 

 レグレットカフェ

 

 レグレットとはフランス語で白鷺という意味。カフェは2階。一階には、歩音(あるね)という愛媛にこだわった商品を置いている。もちろん、カフェで使うカップなどは歩音で扱っている商品で提供されている。

 コーヒーは、オリジナルブレンド(525円)とアイスコーヒー(525円)。フードメニューに季節季節のおすすめを取り入れている。

 レグレットカフェでは交流の場の役割も果たしている。俳人 神野紗希さんを講師に迎え、定期的に「あるね句会」と呼ばれる句会を開催している。句会では、俳句スイーツと呼ばれるスイーツも登場。リラックスムードで、俳句を互zいに詠み合っている。句を詠むというと「私には無理」と思いがちだが、コーヒーと句、意外と合うかもしれない。

 

 この他にもカフェはまだまだある。お茶専門のカフェもあるとか。道後のカフェめぐり、しばらく終わりそうもない。

 

『四季の珈琲』2013 vol.37