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紙コップ問題

なかなか難しいコーヒーと環境問題の話

 

今年の初めまで3年ほどオーストラリアで暮らしていた。ご存じのようにオーストラリアはコーヒーで大いに盛り上がっている国。街を歩けば至る所にカフェがある。特に通勤時やお昼休みなどは、道行く人がほとんど全員といってもいいほど、片手にコーヒーの紙コップを持って歩いている。

 

 日本に帰国すると、コンビニの持ち帰りコーヒーが人気になっているのに気付いた。オーストラリアほどではないにせよ、紙やプラスチックのコップを持って歩いている人が、以前よりだいぶ増えたような気がする。

 

 そして時たま話題になるのが、こうした使い捨てのコップが環境に与える影響だ。持ち帰りのコーヒーが人気になればなるほど、ゴミが増え、確かに環境に悪い影響を与えるのではないかと思ったりもする。

 

 しかし、インターネットでいろいろと調べてみると、事はそう単純ではないらしい。例えば、保温できる水筒を持ち歩き、使い捨てコップの使用をなるべく避けている人もいるようだが、もしその水筒を頻繁に洗うと、大量の水を消費し(すなわち多くのエネルギーを消費し)、また、洗剤が環境を汚染することも考えられるという。水筒自体の製造にもエネルギーが必要で、いろいろなことを考慮すると、使い捨てのコップの方が環境への負荷が少ないのではないか、と主張する人もいるようだ。

 

 環境問題というのは、直感的解釈とは異なる部分も多く、どうにも一筋縄ではいかないみたい。コーヒーを飲みながら、もう少し(かなり)勉強する必要がありそうだ。

 

 

『四季の珈琲』2017 vol.45