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オーストラリアの フランチャイズ・カフェ

オーストラリアのカフェは、個人経営が多い。

一方、フランチャイズスタイルのカフェも最近では増えており、

同じロゴ、同じメニューの品揃えで提供するお店も増えてきている。

今回はオーストラリアにおけるカフェのフランチャイズの現状についてレポートする。

 

 

 

 そもそもフランチャイズとは?

 

 フランチャイズとは、英語の「franchise」からきているもので、辞書によると「製造主が販売業者に与える一手販売権(の及ぶ地域)」とあります。

 フランチャイズは、コンビニエンスストア、レストランやカフェ、ハンバーガー店などの外食業、学習塾、住宅建築など多岐にわたり、それらはフランチャイズ・ビジネスと呼ばれ、日本では売上高

約20兆円を超え、「フランチャイズ・ビジネス」と呼ばれている。

 

 独立系カフェが95%

 

 オーストラリアにおいて、カフェは家族または個人経営がほとんどである。現在、オーストラリア全土には6千701店舗のカフェがある(2015年4月現在)。そのうち95%が家族や個人で経営する「独立系カフェ」となっている。

 このように独立系カフェが台頭する中で、2000年に進出したスターバックスは、85店にまで店舗を増やすも、苦戦を強いられ2008年に観光地での経営を除いて61店舗が閉店した。

 「同一のマークやイメージ、品揃えでチェーン形式で営業する」というフランチャイズ・ビジネスが根付きにくいということを露わにした典型例である。

 

 市場には変化が……

 

 ではまったくカフェのフランチャイズ・ビジネスが根付かないのかといえばそうではない。少しずつではあるが、市場には変化がおこり、現在、カフェのフランチャイズ店をショッピング・モールや街中でよく見かけるようになってきている。

 オーストラリアのカフェのフランチャイズの主なものには、「DEGANI」(77店舗のうちフランチャイズ17)「DONUT KING」300店舗のうちフランチャイズ210)「JAMAICA BLUE」(111店舗のうちフランチャイズ107)「MICHEL'S PATISSERIE」(260店舗のうちフランチャイズ240)「MUFFIN BREAK」(202店舗のうちフランチャイズ176)「THE COFFEE CLUB」(294店舗のうちフランチャイズ206) 「THE COFFEE EMPORIUM」(30店舗のうちフランチャイズ30)「ZARRAFFA'S COFFEE」(73店舗のうちフランチャイズ42)などがある。

 

 移動販売車型カフェも登場

 

 オーストラリアにおけるフランチャイズ・カフェの概念を打ち破る新しい形態に、車にカフェ機能を併設して、各地を回る移動販売車型カフェがある。

 「cafe2U」や「THE COFFEE GUY」などがそれにあたる。

 オーストラリアでは独立系カフェが多く、フランチャイズ型は根付かないとされていた市場になぜ変化が起きたのか。

 大きな要因は2点ある。一つ目はやはりフランチャイズ・カフェが市場をよく研究していることにある。コーヒーの味、それを安定して提供すること、スイーツや食事メニューの質・量・安定化、店舗のイメージ、定期的なスタッフのトレーニングなどが複合的に行われていること、二つ目は、その変化をすぐに感じ取っている消費者の変化が大きいこと、であろう。そこには、独立系カフェと消費者に対する研究が綿密に行われている。つまり、独立カフェと消費者の動向に戦々恐々している様子が伺える。あるフランチャイズ・カフェのマネージャーは、「小さな部分でもベストを尽くさなければ、消費者はすぐに他に流れてしまう」と話すように、オーストラリアにおけるフランチャイズ・カフェの厳しさを物語っている。 

『四季の珈琲』2015 vol.41