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すなば珈琲考

ピンチを逆手に取って認知度を高めていく「すなば珈琲」の戦略

 

 鳥取県の「すなば珈琲」のプロモーション展開がうまいとあらためて思う。そもそも2014年4月に、当時日本で唯一、アメリカ大手カフェーチェーンの「スターバックス」が県内に無かったことを逆手に取り、「鳥取にはスタバはないけど、日本一のスナバがある」を鳥取県・平井伸治知事に発言させ、一躍有名になった。

 翌15年5月23日には鳥取駅前で初めてスターバックスが開店。21日には平井知事が鳥取砂丘にて「勝手にスナバキャンペーン」を実施した。平井知事の「スタバが来てもスナバ県は永久に不滅です」「スナーバックス社を作ってはどうか」「すなバーッと香りが広がります」という駄洒落も耳目を引いた。対する「すなば珈琲」も、「大ピンチキャンペーン」を展開した。キャンペーンの一つにスタバのレシートを持参すればコーヒーが半額になるというもの。

 

 「すなば珈琲」に便乗して「あなば珈琲」という競合店も

 

 さらに、2016年12月には期間限定ではあったが「すなば珈琲」は東京にも進出。森永製菓のアーモンド菓子「JACK」とコラボして新宿・四谷3丁目に4日間店を構えた。鳥取県では人気という朝がゆとコーヒーのセットは評判を呼んだ。この機に乗れとばかりに、16年4月には「あなば珈琲」というお店まで登場する。すなば珈琲のイキなところは、競合店にも関わらず「あなば珈琲」に祝い花を贈るところだろう。

 

 

 

 『四季の珈琲』2016 vol.42